新聞を見ると、連日トヨタ、ソニー初め経済の暗い話ばかりである。舞岡公園の葉を落とした木々の裸の姿を見ていると、良く言うと裸の自然を見ているようでほっとするが、人間に重ねると丸裸にされた人間の経済生活を連想してしまう。人間の経済状態などは動植物には関係ない(動植物側から見れば)だろうが、気が滅入ってしまうと撮影する側の心理状態に影響が出てきて暗い写真になる傾向がある。100年に一度の世界不況だといわれ、1929年に始まった世界恐慌と比較している情報がある。マスコミの典型は新聞やテレビだったが、いまや世界は情報化の真っ只中に入りインターネットが加わる。ネットは情報を世界中に、殆どゼロ時間で流すことができる。いくら科学、経済学、心理学、統計学などが発達した現在でも、マスコミ情報の人間の経済についての心理に及ぼす影響を数値的に表すことはできないでいるだろう。悲観的情報が遠慮なくどんどん流されることは経済復興にとって良いのか悪いのか。80年前の世界不況の発端は、ニューヨークでの株価暴落を全米の新聞が大々的に報道したのが相当の原因のようだ(1920年頃から始まったラジオ放送がどう影響したかは知らない)。そして世界的に約10年以上影響し、アメリカが本格的に復興したのは実に1939年から1945年の第二次世界大戦の軍需景気によるといわれる。言論の自由は日本国憲法で保証された基本的原理であり、世界的にもインターネットの普及で報道規制はもはや相当困難になっている。さて今回の世界不況について、マスコミ情報が、その発展段階、中間段階、そして収束(何時?)段階で、人間の心理と行動にどういう影響をしたのか、これからするのか、一つの学問分野ができてもおかしくないと思うのだが(もうあるのかな)。

2009年1月


 
Copyright©2007 Takeshi Nakajima