来年はいよいよテレビのアナログ放送が全てデジタル放送に変わる。これらの言葉は写真にはもろに係わっている。デジタルカメラ(デジカメ)、デジタル画像などなど。小生が強烈な印象で最初にデジタルという言葉に遭遇したのは40年位前にアメリカで働いていたときセクリタリーが事務所に大型のデジタル腕時計をしてきて社員に見せびらかしたときであった。時、分、秒を徐々にスーっと動く針で示す(アナログ)のではなく、きらっと光る数字、特に秒を表す数字が刻々と変わっていくデザインは小生を圧倒し、驚嘆と憧れと羨望、どうしても買いたいと思ったものだ。デジタル腕時計はアメリカで世界最初に発売されたが、その後はデザイン的な理由などから一般使用では針型が優勢となっている。コンピューター・データ保存媒体として世界を席巻しているCDは典型的なデジタル保存媒体である。今まであったテープレコーダーのテープは温度変化や使用頻度により伸び縮みしたりし音質に影響したが、CDの再現性は極めて安定し長持ちする。美容世界では、デジタルパーマ(形状記憶パーマ)という表現まである。こうなるとデジタルはお飾り用語のようだが、屁理屈では髪型が長持ちする技術が入っているからということになり、デジタルとは「最新技術の」などという意味になるのかな? ところで、デジタルとアナログって何だ?これらは元々コンピュータなど電子関係の言葉として広く使われている。小生理科系ではないから、理論的なことは詳しくいえないが、解っていただけなくても少々ツベコベ申し上げる。デジタルの基のデジットは本来は指を意味し人間は指で数を表したから数字という意味になった。もう一つの重要な意味は、コンピュータはあらゆることがらやその変化を0と1という二つの数字の組合せで表現し処理しているのであり、デジタルテレビ、デジカメ、CDなどの背後ではこの技術が主役を演じている。以前は、ことがらやその変化する量をそのまま電気の量や変化する量に変えて使っていたが(アナログ)、それを限りなく小さい部分に分割して0と1の組合せで表している。デジタルテレビの受信画像が良くなるのは、テレビ電波が各家庭に届くまでの間色々影響を受けるが、0と1という組合せは乱れにくく、乱れた部分の修復もしやすいからだ。写真の通常用途分野ではプロも含めて殆どフィルムからデジカメ写真に変わった感があるが、何か人間っぽさが欠けているという人もいる。神様が元々創造した世界は、人間を含めてアナログ的であると思うが、小生は今や写真は全てデジタルである。しかし、フィルムや昔のレコード演奏に固執している人も一部いる。人生、家族問題、恋愛などなどを全てデジタル表現できるのか、してよいものか疑問でもある。0か1か、Yes か Noか、白か黒か、などで全て解決できないだろう。又、大言壮語。歴史的には、西欧文明の思考方法は本来デジタル的で、東アジア文明はアナログ的であったといえるのかな。

2010年3月




 
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