東日本大震災という世界の歴史に残る大惨事で、被災者や周囲の人々が示した、冷静さ、他人を思う気持ち、忍耐強さなど、日本人の性格が世界中から賞賛を受けている。確かに、日本人である小生でも、なるほど感動的だと涙ぐみながらみていることがある。日本人って何だろう?
 日本人は無宗教的だといわれる。しかし、そうではないのではないか。宗教は人間と自然の創造主(神)と自然との関係をとりもつものである。地形的、地勢的、地理的理由から、日本ほど考えられる多種多様な自然災害に襲われる国はないのではないか。地震、津波、台風、豪雪、洪水、火山噴火、なんでもござれである。これらの恐怖にさらされて数千年間生き延びてきた日本人は神によって造られた自然を受け入れる遺伝子を持っているのではないか。これは立派な宗教である。
 「起こってしまったことは仕方ない」という精神状態を前提として、次に、生き残った人々は「そして、自分はどうあるべきか」と同時に、むしろ本能的に、「他の人々と共にあり、みんなのことも考える」心理状態に至る。自然災害に耐えて生き延びて復興する為には、みんなで協力する「村」意識、又はcommunity spirit(共同体意識)」を数千年の歴史で培い日本人の遺伝子となった可能性がある。更には、島国という地形から他国の文化からある程度距離を置いてきた(又は置くことができた)日本人は、世界の大国の中では有数のhomogeneous (国民が同質的な性格をもっている)国なのである。自然災害に対抗して一致団結して行動する原動力となっている(一方、現代社会において、ある面では世界のガラパゴスと言われ、globalization(国際化)からの孤立と揶揄されている面があるが)。
 いずれにしても、今回の大惨事で世界的に有名となった日本人の性格は「世界に誇るべきもので」あり、学校の教育で生まれただけのものではないと思う。日本は、とにかく過去100年以上の歴史において多大の自然災害、人災を生き延びて世界の大国となった。有力な統計数理研究所という公共調査機関の調査によれば、日本人の性格について、職場の人間関係を見直す動き、家族の重視、日本の科学や芸術への自信と見直しなど、復活しつつあったようだ。今回の国難をバネに、日本の復興は間違いなかろう。

2011年4月




 
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