最近のデジタルカメラの技術的進歩、進化のスピードは想像を超えている。究極には、 人間が「素晴らしい」と感じたら、カメラマンの感性まで取り込んだ画像がテレパシーでカメラの中に自動的に記録されるという未来科学小説のガジェットに向かっていると思えるほどである。
 あまたある最近の進化技術の中で、連写機能の発展に注目したい。一昔前、フィルム静止画の世界では一般的に高価で特殊プロ向きと考えられた、ごついモータードライブという装置が存在した。一方、動画では、一般向けに、かなり手ごろな価格でムービー・カメラが普及し、現在でも急速な進歩を続けている。さらに、連続撮影した画像の1枚をプリントして静止画カメラで捕らえた名画と競合する仕上がりが可能となりつつある。
  高速スポーツ、報道型用途だけでなく、スタジオでのモデル撮影で、カメラマンは器用な指先シャッター操作で、飛び回りながらモデルを違った角度から機関銃のように連写する。モータードライブも助けになったであろう。そういう場面を見て、「プロもどうってことはない。目クラめっぽうに連写して後で適当な画像を選べばよい」「下手な鉄砲も数打てば当たる」。誠にプロの方々には失礼な、浅はかな意見を耳にしたこともある。
  静止画カメラと動画カメラは融合し始めた。そして、静止画は動画のカテゴリー(範疇)の一部?下部カテゴリー?かもしれないという屁理屈を考えてしまう。平凡な一介のアマチュアカメラマンが提起するには大きすぎる問題かもしれない。「静止画は連続的に撮影される画像の中の1枚である」と定義したらしかられそうである。
  ただ今現在高級デジタル一眼レフカメラの誕生が花盛りで、連写機能、動画機能が益々高度化し、競争上の差別化の目玉の一つとなっている。1枚1枚の画像の芸術性をどう考えるのか、カメラマンの感性の表現と高速連写機能との関係はどうなって行くのだろうかと考えてしまう。

2012年4月




 
Copyright©2007 Takeshi Nakajima