フィルムという光化学反応を利用した写真技術から解放され、エレクトロニクス・デジタル技術によるカメラや写真製品の限りない発明、創意工夫が日々生まれ商品化されている。変化に追いつけず戸惑、いったいどこまで進化又は変化するのだろうかと考えてしまう。無数の話題の中から、基本的局面であるISO(感度)と撮影画面画素数に絞ってほんの一考をしてみる。
 実用的(ノイズ水準の許容など)なISO値はすでに昔懐かしい100から1、000単位に、そして10,000単位も出てきている。昔の常用ISO100の100倍の10,000が当たり前の時代が来るのかもしれない。
 まず頭に浮かぶのは、シャッタースピードと絞りの組み合わせへの影響だ。通常の用途では、シャッタースピードは速いほど良いと考えられる。被写体ブレ、カメラ側ブレの防止になる。選択自由度が例えばISO10,000までになったら、撮影の考え方や方法は変わるであろう。デジタル・ブレ補正技術の発達と相まってプロの分野でも三脚の必要度が低下し三脚産業に影響するのかもしれない。ストロボ同調スピードの高速化と相まって新しいジャンルの写真に貢献するのかもしれない。
  絞りは焦点深度の点ではF値が高いほど良いと考えられるが、光の回析現象による収差のため通常はF8〜11あたりが無難といわれる。しかし、現在すでにレンズの多くの問題(収差など)がデジタル補正できるようになってきている。この問題ももしかして補正できるようになるとF22、昔の蛇腹式大型カメラのF64(少々大げさかな)なども考慮されことになるのかな。特殊分野であるデジタル受光素子を持つ針穴写真機との関係はどうなるのだろうか。
  次は画像受光素子画面の画素数である。通常A4サイズの画像を楽しむには、APS−Cで600万画素位でも鑑賞時の人間の目と脳の認識能力からして十分である、高画素は画筆の劣化(ノイズなど)を伴う、などという反論めいたことは気にされなくなってきている。コンデジも高級一眼レフも画素数は上昇の一途たどり始めた。素人のカメラユーザーは単純に画素数が多いいほど良いカメラと考えやすいので販売競争上の戦略でもあろう。ついに3,000万画素台になり、精密半導体技術の進歩にもよるが1億画素なんていうものが出現するのだろうか。ファイルサイズは膨大となるが、PC機器の保存容量の進歩も又著しい。
 以上、ほんの一端の一考であるが、一体全体どこまで進化して行くのだろうか?

2012年8月




 
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