デジタルカメラが写真分野を席巻しデジタルカラー写真が主流となり、フィルム白黒(以下モノクロ)写真もさることながらデジタル・モノクロも目立たなくなっていた今、ライカという超有名ブランドがモノクロ専用の高級デジタルカメラを発売した。モノクロ・マニア以外のデジタル写真家も、モノクロ写真の良さを思い出したり、見直したり、模索し始めているのではないだろうか。
 小生も、昔フィルム・モノクロ写真プリントを少々自作して楽しんだことはある。カラー写真に転向した大きなきかっけは、現像定着プロセスが複雑で高級といわれたKodachromeフィルムを使い京都を撮影したときの風景スライドの出来栄えの素晴らしさに驚いたことであった。そして7,8年前からデジタル・カラー写真に埋没して行った。
 一部マニアに限られているモノクロ写真がもっと広く普及する可能性がある。多くの点でフィルム時代とは違うだろう。まず、暗室での光化学的作業ではなく明るい部屋でのデジタル現像処理ということである。このプロセスの違いだけでも、鑑賞の仕方や芸術性の判断基準などに影響する。そして、例えば、フォトコンでモノクロ・デジタル白黒写真の応募が増大したら、「カラー風景写真の部」と「白黒風景写真の部」などと分けて作品を評価するようになるのだろうか? いや、分けてはいけないのだろうか?
 モノクロ写真はカラー写真の一部だろうか?白と黒はカラーの一種であると言える。一方、明暗の諧調の変化の表現とも言える。日本流の「写真」の「真」は「真実」のことだが、普通の人が見ている対象の世界はカラーであるから、「カラー写真こそ写真である」「白黒写真は写真ではなく、現実世界を白黒に置き換えた別の画像芸術作品分野である」と言えるのかな。モノクロ画像は、多色カラー表現では色の多彩さによって散漫になってしまう画像の訴える力をモノクロという2色カラーに単純化された表現(又は明暗の諧調変化の表現)により表現意図を昇華できる。
 最新鋭のインクジェットプリンターを手に入れた。これはモノクロ画像を従来ない忠実さでプリントできる。小生も、いよいよ、新しい時代のモノクロ写真に手を出すのかな?

2012年9月




 
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