ゴッホ、ピカソ、ダビンチ・・・、何十億円もする絵は一枚きりない。それらの複製はいくらでもあるが、原画は一枚である。しかし部分修正や修復をして永久に(?)保存する努力がなされている。国宝級の絵画を超精密デジタル画像化して複製して保存しようとしている。何万年前の洞窟壁画や古墳内壁画を保存しようと必死に努力している。ちょっと違って、版画では原版をもとに何枚もの絵を刷っている。さて、原画、原作とはなんだろう。初めに創作された時点での芸術性が時を超え、修正を超えて維持されているものであれば原作という解釈をするのであろう。写真となると疑問が更に大きくなる。フィルムからデジタルの時代になって、なおさらと思う。
 撮影時のRAW,JPEGの画像作品、パソコンで処理したTIFF,JPEGなどの画像作品、プリントした(プリント用紙の種類も驚きだが)作品、本として印刷された作品、ギャラリー展示用に拡大された作品、モニター上で鑑賞される作品、場合によってはインターネットにアップロードされて世界中を駆け巡っている作品、・・・、いったいどれが原画であろうか。フィルムの時代でもこのような問題はあったろうが、もう少しわかりやすかった。ネガフィルかスライドであったろう。又はプリントであったかもしれない(これ又コピーは可能であったが)。写真美術館などは、どのようにして名作を保存して行くのだろうか。保存媒体も絶えず変化している。
 アマチュアには関係ないが、プロの写真の著作権は50年である。50年過ぎれば、経済的価値は皆無に近くなるのであるから、原画(原作)なんて気にしても仕方のないことになるのだろうか。しかし経済的価値とは関係なく永遠の芸術性を持つ作品は、やはりどこかで丁重に保存されるのであろう。
  自分なりに名作と解釈し取捨選択した自作のネガフィルム、スライド、デジタル画像を千枚単位で持っている。フィルム系は不徹底な保存で劣化している。顔料系高級インクジェットプリンターで写真集を作ろうと思っているが、その寿命も長くて50年位だろう。一介のアマチュアカメラマンが考えても仕方のないことかもしれない。

2012年10月




 
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