カールツァイスの16−80mmのズームを愛用している。というより殆どこれしか使わない。年のせいか、色々なレンズを持つのは面倒という考えもあり、この地味な焦点距離範囲に落ち着いて、風景写真などを撮影している。近隣で展示して結構喜ばれているのだから、このレンズだけでも結構いけてると思っている。
   カメラマンやレンズメーカーから総攻撃を受けそうなことについて、屁理屈を述べる。近づきがたい被写体を望遠又は超望遠で撮影する必要があるスポーツ、報道、野鳥など、どちらかと言えば記録重視の写真ではなく、普通の風景、静物、人物などの写真について考える。
 「望遠レンズ、特に超望遠レンズばかりに頼りがちなカメラマンは無精者である」、これ暴言かな? 10メートル先にある一輪の花を望遠で拡大撮影した画像と、わざわざ近寄って行って、同じサイズに撮影した画像では、おそらく後者の方が感性を生かした写真となるのではなかろうか。技術的にはパースペクティブ、背景のボケなどとの関係もあろうが、自分がそこにいたという言う臨場感に裏打ちされた感性の表現の方が訴える力は強いと思う。
 又「望遠レンズに頼るのは、人間の強欲の現れ」であるとも言える。或る一点に立ったカメラマンが周囲の近景、遠景、全景、・・に一応感動し、広角、標準、望遠、超望遠レンズを取り出して、殆どを撮り尽くす。本当に、どれも名作になるのか。或る時間内に撮影する数が増えれば、名作のチャンスは増える?でも、じっくりと、経験に裏打ちされて選択した焦点距離に限定して撮影する方が、真の名作のチャンスは増えるのではないか。
 35mmフィルムの時代には、最後に行き着く愛用のレンズは標準50mmであると言われた。記録性、芸術性が葛藤することであるかとも思うが、人間が通常見て感動している被写体の視野角でそれに近づいて撮影した画像が最も訴える芸術性が高いからであろう。
 固定標準レンズ一体のSony RX1が2013カメラグランプリを受賞したのは、どういう意味があるのかなとも思う。価格は決して安くはない。35mmフルサイズで、高画質と小型化の融合が賞賛されたのではあろう。なぜ35mmレンズだったのか、50mmレンズだったら受賞しなかったのだろうか。カメラの構造技術的にそうなったのか。少し広角気味の方が人間感性に訴える力が強いのかもしれない。いや、余り関係ない、総合的なカメラの性能で受賞したということか。

2013年8月




 
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