「切り取る」「トリミングする」は写真撮影の要であると思う。写真作品作りは撮影者の眼前全景の一部を自分の感性に従ってトリムすることであり、結果として「構図」ともいわれる。
 すべてのレンズはそのトリミングの範囲を光学的に決めるために存在しズームレンズは最も利便性の高いトリミング・ツールである。一方、電子画像処理技術の進歩で電子的ズーム機能もかなりのデジカメ(主に中級機以下)に内蔵されている。
 最近トリミングが気になり、少々考え込んでいる。この何でもないような画像処理について、時々、うしろめたさを感じることがあるのである。
 レンズを向けて自分の感性で良しとしたファインダーに見える範囲の画像を記録する。通常RAWで撮影し、厳選した画像を最低限のレタッチをしてTIFFで保存する。この過程で感性がよろめいて、撮影時の原画サイズを電子的にトリムしたくなる。この際、なんだか、うしろめたさを感じたりする。撮影時の感性、構図がだらしなかったから修正したくなる自分が情けなくも思う。しかし、高画素化で余裕が出て来たし、バイキュービック法などの技術で画質の劣化は少なくなっており弱気になることはないとも思ったりする。
 真のプロは撮影時にレンズで決めた撮影範囲・構図で自他ともに認める芸術作品を生み出すのであろう。一方、一介のハイアマである小生は遠慮なくパソコン上のトリミングしたっていいじゃないかと開き直ることもある。しかし、度を過ぎたレタッチでのトリミングはパースペクティブなどの点で注意を要する。
 トリミングについての、ほんの一考を述べたに過ぎないが、光学トリミングと電子トリミングの競合の話題であるとも思う。

2014年2月




 
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