「デジタルぼかし」機能がデジカメに導入され始めた。対して、「デジタル・パンフォーカス」が気になる。もう、導入されている? 小生は結構几帳面な性格なものだから、写真撮影ではパンフォーカスを目指す傾向がある。ましてや主流が風景であるから、なおさらである。
 専門的技術知識は皆無だが、今や、可能なことではと思う。「被写界深度」という概念はフィルムの時代から極めて重要なレンズ撮影機能として存在してきた。カメラの撮影諸機能の段階変化を自動的に行う「ブラケッティング」機能も普及していた。
 適当に選択した撮影距離ごとにピントを合わせた複数のカットをブラケッティングし、それらをデジタル合成する。パースペクティブ等の微妙な差を調整する必要はあるろうし高度な技術となるのかもしれない。しかし従来普及してきた「被写界深度」なる概念も、悪く言えば、人間の目(脳)をごまかす手段であったわけで、高度なデジタル技術ではいとも簡単なことかもしれない。
 あるいは、光学レンズのパンフォーカス補完機能としての進歩も考えられる。小生、風景撮影の場合、標準焦点距離のレンズでは通常絞値F13位で撮影することが多い。回析による子絞りボケを避けるわけだが、記憶が正しければ、最近、この種のボケもデジタル補正できる機能が生まれたようである。例えば、通常のデジカメでF40という絞りが現実的に商品化可能なら、その画像をデジタル補正して限りなくパンフォーカスに近い画像を得ることが可能であろう。
 ここで、針孔カメラ(ピンホールカメラ)が頭に浮かぶ。レンズがなく、通常、焦点距離という概念はない。針孔の直径が小さくなればなるほど、恐らく、光量の問題をさておいて、撮影距離に関係なく、よりシャープになるはずである。ここで、ソニーα7sのISO 400,000代という超高感度の撮像素子を使ったらどうなるのだろうか。
 一方、作品としての芸術性を考えてみると、被写体のすべての撮影距離部分にピントが合っているものは、明暗の諧調を平均化した写真と同じく、イラスト的(すべてが芸術性がないとは言えないが)になり、恐らく人間の脳はあまり作品性を認めないことになるのかもしれない。とどのつまり、以上述べたことは「どうっていうこともないこと」なのかもしれない。

2014年6月




 
Copyright©2007 Takeshi Nakajima