光がなければ存在しないカメラ、その根源的な機能はいかにして所望の光の量を取り入れて記録保存するかである。入ってくる光の束の断面積(絞り値)と流入する時間幅(シャッター速度)、そして、受光面(フィルム、撮像素子)の光に対する感度(昔はASA ,DINなど、今はISO)の値を制御して、所望の明暗諧調の画像を記録し保存する。これらは適正露出手段の3大要素と言えるだろう。
 フィルム時代の露出は、先ずISO値が土台骨としてあり、その上で絞り値やシャッター速度が決まるのが常道であった。絞り値とシャッター速度のどちらを優先して選定するかは被写体やカメラマンの考え方にもよる。記憶が正しければ、35mmフィルム風景写真の開拓者で第一人者である、竹内敏信 大先生はシャッター速度優先ではなかったかと思う。そして今や、バカチョン的(失礼)、手軽なカメラほど、これら三つの要素の組み合わせをカメラのコンピューターが自動的に決めてくれるのが益々普及している。
 さて、中、高級デジカメの話になるが、最近、デジカメを新たに購入した。年のせいもあって、軽くて小型、フルサイズ、風景中心だから高解像度(高画素数)重視でソニーのα7rである。  小生にとっては大変革が起きた(少々大げさ)。今まで持っていたデジカメでもISO値のAuto(自動設定)もあったが、ISO値を頻繁にシャッターを押すごとに変えるのでなく、フィルム時代よろしく、それをやや固定的な土台として、絞り優先でシャッター速度が自動的に決まる方法が中心であった。又、自動的に高ISO値になった場合の画質劣化(ノイズ)の程度の危惧があった。
 一方では、年のせいもあって持ち運び面倒な三脚は敬遠気味となっていた。風景カメラマンとしては横着だ、失格だ、と自分を責めてはいるのであるが、3600画素というα7rではなおさらだとは思う。
 にもかかわらず、ISO値auto(自動設定)を常用するようになってきた。高感度画質の改良が急速に進んでいる。3600万画素のカメラの手持ち撮影には勇気がいるが、シャッター速度を1/160〜200当たり、絞りF8〜13あたりに常用設定し、ISO値がそれにつれて決まるということにして日中の風景撮影を始めた。ISO値は多くて3200あたり、たまに6400になることもある。全てRawフォーマット撮影でありノイズ軽減のレッタチはする。これでも、小生としては、見せられる画像ができていると納得している。
 フィルム・カメラの時代からすると夢のような気がする。露出の3大要素の値を自由自在に組み合わせて適正露出を得られる時代になってきた。

2014年11月




 
Copyright©2007 Takeshi Nakajima