こんなことを話題にするのは価値のない無駄なことかもと思いつつ、何か屁理屈を考えている。写真分野は「切り取る」という言い回しをよく使う方ではなかろうか。ほかには絵画、医療の分野かな? とはいっても、小生は、この言い回しをあまり使わない。通常は「撮影する」で済ましている。小生のような一介のアマカメラマンにとっては、何かもったいない強力な熟語のように思える。この熟語は写真分野で、いつ(江戸、明治?)、どうやって、誰が、使い始めたのだろうか。CAPAには何か資料があるのだろうか。
 常識的に、「切って」「取り出す」ことであり、わざわざ辞書に相談しなくてもと思いつつ、手元の小型電子辞書の大辞泉では、@一部分を切って取るA武力で領地などを奪い取る、ネットの三省堂 大辞林では、@一部分を切って分離する。 A武力で土地の一部分を自分のものにする、とある。英語では、結構日本語化しているクリップ(clip、新聞記事を切り取る・・・)だろうが、日本人が日本語として写真分野で使う「切り取る」ということほどの意味深さはないと思う。通常の「撮影する」の意味では、film(今や時代遅れ?), photograph , take, shoot・・等あろう。
 目の前にある被写体を「切り取る」ということ、何かサムライが「切り」かかって、などと言うような力強さが無きにしもあらずで、強烈な積極性、被写体に対する働きかけを感じたりする。上述のAの意味に通じる。そして「取る」=「撮る」となる。この二つが合体すると、カメラマンの強烈な個性が入った画像が「取り出される」という感触がある。
 ということで、小生は、まだその域に達していないから余り使わないということになる。しかし、デジタル画像の進化発展でケイタイを含めてカメラは空気のように存在し、時には幼児や児童でさえ、生徒、学生、成人の老若男女が写真を撮影し放題である。しかし小生が推測する意味での「切り取る」が当てはまる作品造りは、どのくらいあるのかな?

2015年1月




 
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