カメラの使い勝手や画像処理などのデジタル技術は、それこそ多種多様、猛烈な勢いで進化発展をしている。毎月CAPAを全ページくまなく読み通す努力をしているが、新しい内容や用語が後から後から生まれて追いついて行くのが大変である。
 デジタル電子技術の応用は、機械的な構造の制約から解放されて自由奔放に発展している。そして明らかにカメラボディとレンズの機械的構造を侵食している。
 平凡なコンパクトデジカメはスマホに押されて衰退している。最近の高級スマホ・カメラの画像描写力には驚くべきものがあり、最近、新聞で見開き全ページの画像見本のコマーシャルがあった。
 ここで、カメラ・レンズの近未来像について勝手な想像をしている。カメラやレンズのメーカーから大目玉をくらいそうなことかもしれない。しかしコンデジとスマホの競争は現実にあり、中級、高級カメラ分野にも影響が出始めているのではないだろうか。
 「カメラ・オブスクラの原理となる、ピンホールを通る光の現象については古代中国や古代ギリシャの時代から知られていた」ということであり、ピンホールカメラは趣味的マニア又は特殊用途のために存在する。暗箱一面のピンホールを通して反対面に投影される画像を記録するのは現在のカメラの変わらない原点である。被写体にカメラを正しく向ける、光を取り入れる(光の質と量)、画像を投影し記録する、すなわちファインダー、ピンホール又はレンズ、撮像素子・メモリーの3大要素について、デジタル化が猛進している。
 そして最後の砦と思えるレンズと関連分野で、デジタルの応用が始まっている。順不同で、画角、歪曲収差、色収差、ボケ、ズーミング、クロッピング、色温度、被写界深度、焦点深度、露出F値、シャッター、ダイナミックレンジ ・ ISO感度 ・ 焦点距離・・・そして、レンズの味でさえ、対応できそうだ。
 ピンホールカメラの一大欠点は光量不足だが、ISO 500,000近くがすでに存在し、1,000,000ともなれば見直されるかもしれない。レンズはややこしい構造を離れて、材質を厳選した複雑設計の単玉となるかもしれない。簡単な暗箱で結構な写真作品が撮れるようになるのかもしれない。  
    

2015年7月




 
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