小生の写真趣味の始まりの主な理由は単純だった。絵描きが好きだったが時間がかかった。多忙な社会人になって、「写真はシャッターを押すだけ、撮影フィルムを店に出して終わり」と考えた。初歩のアマチュアカメランとしてはそれでよかった。
 ところがである、時代は全く変わり、Photoshopなどの画像処理ソフトやRAW現像まで手を出すこととなり、相当の手間暇を費やす羽目になっている。
 一方、NETで、「描くことは書くことと違い、多く幼少期に見られる行動である。多くの人は14〜18才位で完成期を迎え、殆ど描かなくなる」という発達心理学的な説明がある。写真への関心は、一般にその完成期あたりから始まると言えるのではないか(カメラを買える年齢になるということもあるが)。
 至近の自然大公園などの写真を自治会館や学校などで発表展示していて、譲ってくれという人が出てくるが、それをもとに絵を描く方もおられる。一方、先生について描いている知人もかなりいるが、先生が撮ってきた写真をもとに絵を描くことも結構あるようである。現場で絵画用具一式を広げて風景画を描く人の割合は減っているのかもしれない。
 写真を絵画の原画として使うには二通りあると思う。自分で撮ったもの、他人が撮って自分が選んだもの。さて、絵画作品の創作の意味合いに、違いが出てくるのだろうか、いや、そうでもないのかもしれない。
 写真と絵画の縁は切っても切れないもので、写真が生まれた時からのものである。どちらも画像分野であり当然ではあろう。200年位前に誕生した写真の撮影手段は、針穴カメラ(カメラ・オブスクラ)であった。その前の15世紀頃にカメラ・オブスクラは絵を描くための装置として芸術家の間で活用されていた。レオナルド・ダ・ヴィンチも写生に利用した。
 絵画用語を幾つか探ると、スケッチとは、絵画創作での基本的な作業で、人物や風景などを大まかに描写すること。写生とは、事物を見たままに写しとること、デッサンとは、物体の形体、明暗などを平面に描画すること、あるいは作品のこと、などとある。
 絵画用の写真はこれらの代役もしているとも思う。そして、絵の具を使って絵を描くプロセスと、写真でRAW現像するのとは似ているようにも思う。  デジタル全盛の時代、コンピューターグラフィック(CG)、デジタル絵画、デジタル塗り絵、・・・色々とある。デジカメにも・・・風というセッティングがあまたある。
 絵画と写真の融合、競合、補完関係は、フィルム時代よりもデジタル時代の方が深まったと思う。人は、元々絵心を持って生まれるが、成長するにつれて,諸々の事情で、絵画趣味を続ける又はプロになる、写真趣味に又はプロに転向する。そして、絵画は写真産業の発展に貢献すると思う。

2015年12月




 
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