CAPA昨年11月号で拙文「デジタルで完全オリジナルな画像は?」を取りあげてもらった。フィルムに比べデジタル画像のオリジナル性が低いのではと考えたものの、デジタルカメラに早くから飛びついて惚れ込んでいる小生は、更に考をめぐらしている次第。
 微妙な光化学反応で作られた、見える形での、アナログ的なポジ、ネガフィルムの画像はどう見ても一枚しかなく、その完全完璧なコピーを作ることは不可能と思われる。
 デジタル画像は(コンピュータの勉強はさておいて)0と1という極めて単純明快な値の超複雑な一組の組合せとして存在する。たった二つの単純な電気信号の組み合わせは簡単には崩れないし、ソックリを転送、保存することは自由自在であり、最悪一部ずれても復元可能と思える。フィルムと違って、この一組は、即、画像としては見えないが、これこそ撮影者が創造した独自の作品である。
 これを保存し移動する方法は多種多様であり、メモリースティック、コンパクトフラッシュ、ハードディスク、SSD,USBメモリ、DVD、などがある。
 最終的に、みえる作品として画像化するにはモニター表示、プリント仕上げなどとなる。画像化のプロセスでは、作者の感性によるレタッチ(この言葉はどうも印象が良くないが)などがなされる。そして、このプロセス自身も撮影者独自の創造である。
 なーんだ。デジタルにも立派なオリジナル画像が存在する。ただし、フィルムと違って即、目に見える形ではない。0と1という単純な値の超複雑な組み合わせであり、保存されている形態は多種多様である。

2016年3月




 
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